音楽マンガ見参!
今回紹介する新川直司『四月は君の嘘』は音楽を題材にした漫画だ。正直、音楽をテーマにした漫画は見たことがなく(かろうじて『のだめカンタービレ』の名前を聞いたことがあるくらい)、どうだろうと思ったけど面白かったので紹介していく。
主人公の有馬は過去にトラウマを抱えた中学生ピアニスト。ずっとピアノとは距離を置いていたが、ヒロインの宮園との出会いをきっかけに再びピアノにのめり込み、ヒロインやライバルと切磋琢磨しながら成長をしていくという物語だ。ピアノだけでなく恋愛などの人間関係を通じて主人公たちが成長していく物語であり、一見するとありふれたテーマだがこれがなかなか面白い。
設定のおもしろさ
主人公はピアニストなのにピアノの音が聞こえない。これはベートーヴェンのように難病で聴覚がないということではなく、精神的なものによるものだ。しかも、この主人公の場合、自分のピアノの音だけが演奏中に突如聞こえなくなってしまう。
これは、母の死によるトラウマであるが、なんと主人公が出会い恋をしたヒロインもまた死にゆく運命を辿る。こうした、音楽に関わることで愛する人がいなくなってしまうがそれを乗り越えて成長させようとするところにこの漫画の設定の良さがある。
また、黒猫とヒロインとの重ねあいの描写も素敵だ。なんとそれを直接表してるのが最終巻の表紙で、主人公が亡くなってしまうことが暗示されている。
タイトルの意味
このような漫画だが読み進めていく最中ずっとタイトルの意味が気になっていた。漫画の冒頭の方で「四月」とか「嘘」とか単語が出てきてはいたがどうにもしっくりこない。
だって、『四月は君の嘘』ですよ?絶対深い意味があると思いながら読んでいた。
そして、最終巻でヒロインからの手紙によりその謎は発覚する。「僕の好きな人は僕の友達を好きな女の子」そんなヒロインが最後に手紙で明かす「嘘」によって鳥肌が立ちました。ぜひ、その「嘘」はなんなのかを想像しながら読んでください。
読みやすいから漫画が苦手な人にもおすすめ
設定の良さなどを語ってきましたが、全11巻の漫画だし、文字も少ないし、絵も綺麗だしで、漫画が苦手な漫画初心者におすすめでもあるのがこの漫画です。話もすごく綺麗で美しくて、まだ漫画独特の構成や読み方に慣れていない方におすすめの一冊です。
そしてなにより主人公中学生たちの迷いながらも一生懸命に生きる姿に心洗われます。ぜひご一読を。