「バキシリーズ」は『グラップラー刃牙』から始まり現在は『バキ道』まで、その漫画の巻数は優に100を超えている。今回はその中でも史上最強の親子喧嘩が収録されている『範馬刃牙』を紹介する。なお、バキシリーズは
『グラップラー刃牙』→『バキ』→『範馬刃牙』→『刃牙道』→『バキ道』
という順番となっているので時系列順に見たい人は参考にしてください。
また、以前に紹介した『刃牙道』も是非一緒にご覧ください。こちらは、伝説の剣豪「宮本武蔵」が現代に蘇り大暴れする作品です。『範馬刃牙』の次のシリーズになっておりその面白さは『範馬刃牙』に引けを取りません。
それでは早速『範馬刃牙』を紹介していきます。
『範馬刃牙』の概要
『範馬刃牙』は『週刊少年チャンピオン』にて2006~2012年に掲載されていた漫画です。単行本の巻数では全38巻(本編37巻+外伝1巻)となっており、バキシリーズでは『グラップラー刃牙』の43巻(本編42巻+外伝1巻)に次いで2番目に作品となっている。内容は大きく分けて『ピクル編』と『地上最強の親子喧嘩編』に分かれている。
ピクル編
ピクル編では、1億9000万年前の地層(岩塩層)から蘇った原人「ピクル」との戦いが描かれているのだがピクル編に入るまでもなかなかおもしろい。地上最強の生物たる父「範馬勇次郎」との戦いに備え、バキが自分を鍛えるための戦いの相手に選んだのはなんと「昆虫」だった。
だが、ただの昆虫ではなくバキの豊かな想像力によって編み出された謂わば人間サイズの「昆虫」である。敵は「蟷螂(カマキリ)」。蟷螂拳というカマキリを模した中国武術の流派があるくらいカマキリは実は戦闘に特化した昆虫である。そんなカマキリが人間サイズになったら…というイメージを作り出し、バキは自信を鍛えていた。
また、「ゴキブリ」を師匠と仰ぎ、初速から最大の速度を発揮する謂わば「ゴキブリダッシュ」を彼らの身体が筋肉ではなく液体がその内側を満たしていることにヒントを得て会得した。こうして、もはや人間ではなく昆虫から学び範馬勇次郎に備える鍛錬の日々で突然現れたのが原人「ピクル」だった。
ピクルは、1億9000万年前の地層(岩塩層)から取り出され蘇った原人だ。もちろん、現代人がその名づけをしたのだが、「ピクル」は長く岩塩層に保存されていたことから、酢漬けの保存食である「ピクルス」がその由来である。
さて、そのピクルだがその実力はハンパなく強い。まず、タッパは2m以上あり、明らかに現代人と比べて大きい。さらには、爪や牙が発達しており、もはや人のそれではない。さらにはバキとの戦いでだけ見せたが、関節を組み替えての戦闘形態があるなど本当にとんでもない。さすが、恐竜を相手にやりあっていただけある。
そんな、ピクルを一目見ようと、一戦交えようとピクルが収容されている施設に格闘家たちが入り込むシーンがあるのだがこれがまたおもしろい。ご存じ烈海王が監視員の後をつけていくのだがそりゃないだろというシーンなので是非見てほしい。また、愚地独歩はピクルの檻のおもちゃから出てくるなどもうやりたい放題だ。そして、しまいには範馬勇次郎の強化ガラス…これは本当にネタでしかない。バキシリーズはこうしたネタシーンがシリアスに描かれているから思わずクスッとしてしまう。
さて、こうして無事?格闘家たちはピクルと戦うのだが相手は言葉も通じない原人、ルールなんてない。ピクルにとって戦うことは生きるために喰らうことであり、戦いに勝った際にはもちろんその身を喰らう。そうして…烈海王は片足を、愚地克巳は片腕を喰われたのだった。
そんなピクルにも勝ったバキはついに、母の仇であり、そして誇るべき地上最強の生物である父「範馬勇次郎」との戦いに挑むのだった。
地上最強の親子喧嘩編
バキは母である朱沢江珠を殺した仇を討つために、範馬勇次郎に勝つために鍛えていた。そのためバキはこんなことを言っている。
「俺は別にあなたのように地上最強を誇ってるワケじゃない 仮にあなたがこの世で一番弱い生き物だったとするなら俺は二番目に弱い生き物でいい ほんの少し…あなたよりほんの少しだけ強ければそれでいい」
つまり、バキが鍛え、戦い、技を磨き続けるのは範馬勇次郎を倒す、その究極の目標を叶えるための手段だったのだ。そして、「地上最強の親子喧嘩編」はその集大成、ファンが待ちに待った範馬刃牙vs範馬勇次郎といった最高のカードだった。
そして、バキは父を倒すために鍛え続けていたが、その過程でいろいろな仲間と出会い高めあうことを通じて範馬勇次郎への見方も変わっていった。母の仇であることに変わりはないが、それと同時に武を極めるものとしてその頂点を極める父を誇りにも思うようになっていった。
だからこそ、かたき討ちではなく「親子喧嘩」なのだ。どこにでもある父と子の親子喧嘩、バキはそう称する。ただ、地上最強vs地上最強に最も近い男の戦いだけあって、その模様は全世界の人が目撃するところとなる。
結果は、「最強を手放した父」と「勝利を手放した息子」と最高のエンディングだがこの戦いを実際に読んでそのすごさを見てほしい。鳥肌ものだ。
そして、物語は『刃牙道』に繋がっていく…
さいごに
『範馬刃牙』いかがだっただろうか?バキシリーズの最初の最初からファンに待ち望まれていた範馬刃牙vs範馬勇次郎という最高のマッチ。物語の集大成。それに相応しいラストだったのではないだろうか。
『範馬刃牙』のラストまでがバキシリーズの一つの区切りであることは間違えないので、是非バキに興味がある人は『範馬刃牙』までを一気見してほしい。男にとっての義務教育です。