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お金持ちになるための必読書『新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ』を解説!

今回は橘玲氏の『新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ』(以下、『黄金の羽根』)を解説する。タイトルそのままお金持ちになるためには必読の一冊といえる。中身はいくつかの項目について書かれているが今回は本当に大切な「マイクロ法人」について書かれた章を中心に解説します。むしろここがこの本の値千金な情報だと思っています。

概要

本書は2002年に発売された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』の改訂版です。当時書かれた『黄金の羽根』を現代にアップデートした本といえます。内容は大きく分けて「資産運用論」と「マイクロ法人論」、「働き方論」の3つで構成されています。そそ比重は上記2つが大半を占めているが、今回は特に重要な「マイクロ法人論」について解説していく。

前提

そもそも『黄金の羽根』が目指すべき価値観について最初に共有していく必要があるだろう。橘氏は【目標】として「真に自由な人生を生きること」としている。そして、【自由】とは「何ものにも束縛されない状態」と定義している。そしてそのためには、【経済的独立】として「国家にも、会社にも、家族にも依存せず、自由に生きるのに十分な資産を持つこと」とし、その状態を老年になってから達成しても仕方ないので【近道】として「最短距離で目標に到達できる、少数のひとしか知らない方法」を使おうと提案している。そして、その方法こそが【黄金の羽根】であり、その定義として「制度の歪みから構造的に発生する”幸運”。手に入れた者に大きな利益をもたらす」としている。

そのような制度の歪みから生まれた「黄金の羽根」を上手く利用して資産を作ることが「知識社会」あるいは「情報化社会」では大切である。ただ、このような社会では情報は瞬時に共有されていきますが、万人がそれを活用できるわけではない。

「知識社会」では、必要な情報を的確に入手し、それを活用する知識を有している人は、いくらでも近道ができきる。そうでなければ、ひたすら回り道をするほかない。「知識」が価値を持つとは、そういうことだ。知識もなく、回り道もしたくなければ、金を払わなくてはならない。それが、私たちが生きてる資本主義・市場経済のルールだ。つまり、私たちは知識を獲得して近道をするのか、金を払うのか、回り道をとぼとぼ歩くのか、選択を迫られている。

このような前提をもとに話を進めていきたい。知識を付けなければ金を払うか回り道を通らなければいけないのだ!ちゃんと本を読んで勉強しよう。

資産運用論

このパートは大事なところだけ抜き出していく。まず絶対に抑えておきたいのは「お金持ちの方程式」こと以下の方程式だ。

資産形成=(収入-支出)+(資産×運用利回り)

こんな簡単な式でお金持ちになる方法が表すことができる。この方程式から分かるお金持ちになる方法は①収入を増やす,②支出を減らす,③運用利回りを上げるの3つしかないことがわかる。

…などなどの基本原則から始まり、不動産や生命保険などの諸々の資産運用について言及されている。詳しく知りたい方は本書を読んでほしいが、ここで一番大切なのはお金持ちの方程式をまずはしっかり頭に叩き込むことだ。

資産とは収入の多寡によって決まるのではなく、収入と支出の差額から生まれる。いくら収入が高くても支出もそれに高いものであるのなら資産は生み出されないし、まして、収入<支出となった時点で、収入の多寡にかかわらず資産は食いつぶされていく。十分な元金がなければ運用をいかに効率よくしても資産を増やすには有効な手段とはいえない。つまり、倹約が大切、という身も蓋もない結論に至るのである。

働き方論

資産運用論の「お金持ちの方程式」からもわかるように、資産形成のファクターは収入と支出と運用利回りしかないが、ここで最もインパクトのあるものは「収入」だ。ここでは、世界はクリエイティブクラスとマックジョブに分かれるという指摘があり、低賃金であるマックジョブで一生を終えたくないのであればクリエイティブクラスとしてのキャリアを積むしかないという当然の結論を導き出している。

収入とは人的資本が生み出す結果であるが、その人的資本からの収益を増やすには①人的資本への投資によって運用利回りを上げる、②人的資本の運用期間をできるだけ長くする、という方法しかないとしている。簡単に言うと、①はスキルアップして収入を上げること、②は長く働くこと、ということだ。そして、これらを満たすための人生戦略として「自分が一番になれるニッチ(ブルーオーシャン)を見つけ、そこに資源のすべてを投入してデファクトスタンダード(事実上の標準)を握ること」としている。簡単に言うと、「好きな仕事をして長く働こう」というありきたりな結論のようですが、これは理想ではなく、そうしないと生きていけない残酷な世界に私たちは生きているということを物語っているのです。

マイクロ法人論

さて、本書の主題であるマイクロ法人論だが、ここでは細かい税制などの話はせずに、いかに社会制度的な仕組みを利用してお金持ちになるかを解説する。というか、そうしなければお金持ちになるのが非常に難しいのがわれわれの生きている世界だ。

結論から先に言うと、「自営業者(または中小企業の経営者)になって『個人』と『法人』のふたつの人格を使い分ける」ということだ。言い換えると、「個人」と「法人」の2つ財布を使い分けて資産を増やしていこうということになる。

具体例を挙げると、個人は所得に対して課税され税金を引かれた後の給与で消費を行うのに対して、法人は税金を引かれる前の売上から消費を行いその残りの所得に対して課税される。実際に数字を当てはめて見てみると、仮に個人と法人の所得税率を30%とし、100万円の所得に対して50万円を消費をしたケースを考えてみる。

【個人】100万円の所得にまず30%の利益の所得税が課せられるから税引き後の利益は70万円。そこから50万円の消費を行い、残額は20万円。

【法人】100万円の売上から50万円の消費を行い、残額の50万円に対して税率30%の所得税を払うから、残額は35万円。

と、このような摩訶不思議な仕組みから同じ100万円から同じ50万円を消費し、同じ30%の税率で課税されたにも拘わらず15万円の差額が生まれた。このような制度の歪み「黄金の羽根」を使い、資産を蓄えようというのが本書の趣旨であり、その真骨頂がまさにマイクロ法人論だ。たった15万円と思うかもしれないが、これが収入の多くにわたって、そして何十年にもわたって運用された時のインパクトは言うまでもないだろう。このような「黄金の羽根」を様々に紹介しているのが本書だが、説明はこれにとどめておく。

なぜなら、制度は変わりゆくものだし、掲載されたテクニックが使えなくなる場合もあれば、新たな「黄金の羽根」が生み出されることもあるからだ。だが、原理的なマイクロ法人を活用することは変わらないし、その数字的なインパクトはすごいので上記で実際の数字を交えて解説してみた。

冒頭に戻るが、われわれがこの知識社会で賢く生きていくためにはこういった知識をきちんと仕入れ有効に使うことだろう。そうでなければ、われわれは多くのお金を払ったり、回り道をしなくてはいけなくなる。

執筆後記(暇な人だけ読んでね)

いかがだっただろうか。私自身、本書を読んだときは物凄く衝撃を受けたのを覚えている。真面目に働く、価値を生み出すといったソフト面というか抽象的な方法論ではなく、きちんと制度的に確立したお金持ちになる方法があったなんて、と。このマイクロ法人という考え方は節約やキャリアアップとは次元の違うインパクトを与えるものであった。

しかし、当時は学生時代に読んだためか、まだ難解な箇所があり、今回の執筆にあたり通算5回くらい読んだ記憶がある。ただ、それくらい読む価値がある本だし、お金に興味がある人には本当におすすめできる一冊となっている。また、本記事では割愛したが、株や不動産や生命保険についても書かれてあるので興味がある人は是非ご覧ください。最後に、知識社会を生きるものの戒めとして心に刻むべき言葉をもう一度引用して終わります。

私たちは知識を獲得して近道をするのか、金を払うのか、回り道をとぼとぼ歩くのか、選択を迫られている。