考えてるようで考えてないあなたへ
「売上を上げるにはどうすればいいだろう?」「何か新しいことを始めたいけど何をしよう?」「自分のキャリアはこれからどうしよう?」現代を忙しく生きるビジネスパーソンはこのような悩みは尽きないだろう。まして、仕事の悩みだけでなく、職場や恋人、家族といった人間関係の悩みも含めるとほとんど死ぬまで何かの悩みを抱えながら生きている人が99%ではないだろうか。
では、常に何らかの悩みを抱えている人に聞きたいが「その悩みの解決策は思いつくのだろうか?」
きっと、いつまでたっても何も思いつかず、ずっと頭の片隅で問題を堂々巡りさせているか、あるいは「諦め」といった形で悩みに蓋をしてしまうのがだいだいであろう。今回はこの悩みを解決に導く方法を教えてくれる本とその方法を紹介する。その名も『0秒思考』(赤羽雄二)だ。
全ての悩みはメモが解決する
結論から言うと、「メモを書け」これが全てだ。「なんだそれだけか」「それならすぐできる」とサイトを閉じようとした人はもう少し待ってほしい。ここで終わったら、今までの自分と何も変わらない。
ということで、この本に書かれている内容をわかりやすく書いていく。
ここで、1つ注意なのだが、この本に出てくる「メモ」とはいわゆる人の話を聞いてそれを忘れないように記しておくためのメモとは異なる。ここで語られる「メモ」はどちらかというと日記に近い。外からの情報を外部記憶として保存する装置ではなく、自分の内なる感情・考え・思いを外部に記しておくものだということを予め断っておく。では本題。
なぜメモなのか?
なぜわざわざ悩みを書かないといけないのか、まずはその話だ。「正直、何を悩んでいるのかそれすらもはっきりと分からないから書けない」メモを書け、と言われたときに頭にこう思い浮かんだ人も多いのではないだろうか。筆者はまさに、だからこそメモに書けと主張する。
同語反復ではないか、と思ったかもしれないが、筆者はこの悩みを言葉にすること、いわゆる言語化が大切だということを言っている。人間の脳は非常に優秀なのにその能力は環境に依存するという。つまり、脳に負荷を与えるためにメモを書けと言っているのだ。
メモの効用は、言語化をすることによる暗黙知→形式知にすることだ。すなわち、何となく知っているものを具体的にどう知っているのかとその漠然とした知に輪郭を付けることができるのだ。それ以外にも、メモを書き続けることによって言葉への感覚が鋭くなる。すると、言葉の定義などによる勘違いがなくなりコミュニケーション能力が上がることで仕事ができるようになる。
具体的なメモの書き方
それでは実際のメモの仕方だが、ずばり「頭に浮かんだことを言葉にする」だ。これ以上でも以下でもない。拍子抜けしたかもしれないが本当にこれだけだ。まさに「0秒思考」ではないがテーマを決めたらそれについて思うことをどんどん書いていこう。実際に書いてみると分かるが、思考がどんどんクリアになっていく。これは体験した人にしかわからないので是非やってみてほしい。
そして、このメモ書きは内容的なルールは本当に「ただひたすら頭に浮かんだイメージ、感覚を言葉にする」しかないが、形式的なルールは割と厳しい。そして、このルールは筆者が試行錯誤をして辿り着いた方法論だからアレンジをせずそのまま使ってほしいと強く主張している。では、そのルールを書いていく。
まず、「A4の紙に横書きで書いていくこと」だ。ノートやPCではなくA4のペライチの紙にしかも横にだ。これには、実際にやってみて後からの振り返りやすさや気軽に書けるという点にある。特に、プリントや資料の裏紙を使った方がいいと書いてあったが、これには勿体ないと思わないでどんどん書いて書いて書きまくろうという意図があるということがわかった。
次に、「左上にタイトルを書きそこにアンダーライン、右上に日付を書く」というものだ。これはタイトルを際立たせるということ、そして日付の書き方もスピード重視のため、たとえば「2022年2月20日」は2020-2-20」と速さ重視で書いていく。
そして、「4~6の箇条書き、各行20~30字程度でメモをする」ということ。これは、単語だけだと言語化の負荷をかける練習にならないし、長すぎても無理に言葉を紡ごうとしてしまうからこれくらいの字数ということだ。これも最初は悩むかもしれないが、やればすらすらと言葉がかけるようになる。
そして、最後は「これを1枚1分で書く」というものだ。この時間的制限が一番きつい。だんだんわかってくると思うが筆者はメンタルマッチョなのでゴリゴリに負荷をかけさせてくる。書く前からこれがどれだけきついものかがわかるだろう。
心のモヤモヤが消える
他にも書いた紙をフォルダ分けして3か月後、6か月後にそれぞれ見直すなど保存のルールがあるのだが、なにより実践が大事ということで詳しいことは本書に譲る。それより、読者の人には実際にやってその効果を体験してほしい。以下、練習がてらに実際に見本を書いてみる(なお、形式上完全に再現は出来ないのであしからず)。
この天気のなかジムにいくべきか?2022-2-20 ・天気が悪いからジムに行きたくない濡れたくないから ・でも、昨日も理由を付けて行かなかったな言い訳してるだけか ・ジムに行くデメリットはなんだろう濡れるだけだな ・逆に行ったら自分のためになるし天気が悪くて皆が来てないから空いてそうだぞ ・よし、ジムに行こうかなジムに行くと達成感にもなるし
と、簡単だがこのようになる。実際にA4の紙に書いたとしても、形式は違えど内容はこんなものだ。ただ、書くことによって、心の中で堂々巡りしてた悩みがクリアになり次のアクションプランまで見えてくる。また、書いていけばわかるが意外と論理的な文章が書けていることにも驚く。これがすっきりするだけでなく、頭が良くなるという理由だ。
見本のテーマは日常のものだったが、「今期の売り上げを上げるためにいますぐできることはなんだろう?」や「○○さんに気持ちよく頼みごとをしてもらうにはどうしたらいいだろう?」など仕事や人間関係などあらゆることにも応用可能だ。
1枚には1テーマのみを書くのだが、それについて書き足りなければ何枚も書くといいだろう。どんなことも20ページくらい書けばもうそれ以上は書くことないなということがわかるはずだ。やってみてほしい。
準備するもの
まずは、A4の紙だ。裏紙をおすすめしていたが、なかなか裏紙が手に入らないという人はコピー用紙を書くことを勧めている。大量の紙が安価に手に入るのおすすめだ。
そして、クリップボード(バインダー)もあると、どんな状況でもメモが取れるためあると便利だ。
そして、ペンだが、書きやすいことが第一条件なので自分に合ったものを使えばよいが、筆者はpilotのvcorn 直液式水性ボールペンを勧めていたので僕はすぐにポチった。
最後はクリアファイルだ。書き溜めたメモをカテゴリーに分けて保存するのだが、これはまずメモの実践をしてからの話だ。
さあ、メモを書こう
筆者はこのメモを1枚1分、毎日10枚書くことを課しているが正直何枚でもいいから実際に書いてみることをおすすめする。その効果を実感することだろう。
筆者は一貫して人間の脳は優秀だ、ただそれをフルに活用するためには訓練が必要だと主張している。そして、深く考えるための訓練がこのメモ書きなのだ。一見、思いついたことをただ書けばいいという頭を使ってないようにみえることだが、その本質は非常に考え尽くされたものである。
最後に、『0秒思考』とあるように、時間制限厳しくどんどん書いていけ、時間をかければ考えが深まるとは限らないのだ、と主張する章でとても深く心に突き刺さったことを書いていく。
それは、「大半の人は調べすぎている」ということだ。つまり、情報収集に時間をかけすぎるなと筆者は言っている。そして、その本質は「嫌な判断を先延ばしにするために情報収集を延々と続けている」ということなのだ。
それはまるで、良い参考を永遠に探し続けている受験生のようなものだ。出版されている以上、どれも合格点(仮に80点とする)を越えているわけだから、90点、92点、93点、もっと、、、とより良いものを探す暇があったら、さっさと80点の参考書で勉強した方がいいに決まっている(過去の自分に届け!)。
今回のメモについても、細かいノウハウについては本書を読んでみてほしいが最低限のやり方についてはここに書いた。この記事は10分で読めたと思うから、さっそくメモを書いてみよう。昨日と違った自分が見えてくるはず。