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『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』は現状の閉塞感を打破する新しい地図だ

この記事はこんな方におすすめです↓

・サクッと『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか 経営における「アート」と「サイエンス」の内容を知りたい方

・努力はしているけど何となく現状に閉塞感を感じている方

・そろそろ美意識でも鍛えとく?って思ってる方

この記事を読めば、現状の日本もっといえば現代のあらゆる企業が陥っている問題がわかり、その解決策を知ることができるはずです。

その答えは3つ

まず、「なんでエリートは美意識を鍛えるの?」その答えを先に書いちゃいます。ポイントは3つです。

①論理的・理性的な情報処理スキルの限界

②世界中の市場が「自己実現的消費」へと向かいつつある

③システムの変化にルールの制定が追い付かない状況が発生している

この結論を読んで「なるほど」と思った方はここで終わっても大丈夫ですが、ここからこれらについて詳しく解説していきます。

長くなっちゃうので今回は①だけを解説します。

というか、①がメインの理由なのでこの記事を読んじゃえば8割方この本を理解したと言っても過言じゃないです(さすがに過言な気がしたので5割としておきましょう)。

結論、今は「サイエンス」に偏りすぎ!

ざっくり書くとこれが著者山口氏の主張で、だからこそ「サイエンスとアートのバランスを取ろうよ」というのが山口氏の提言です。

いきなり、アートだとかサイエンスと言われても意味不明だと思うので解説します。

山口氏は意思決定を「アート」「サイエンス」「クラフト」に分類します。

簡単に書くと、アートは未来志向で直感や感性を基に、サイエンスは現在志向でデータや事実、論理に基づいて、クラフトは過去志向で経験を基に意思決定を行います。

ここは、「アートが未来で直感、サイエンスが現在で論理ね」と覚えてくれれば大丈夫です。

そして、現代の意思決定、とりわけ企業経営におけるそれが、サイエンスやクラフトに偏って(そして、アートはおざなりに)されていると山口氏は指摘します。

「論理や経験はなんか正しそうだし、直感は感覚的だからそれでいいんじゃないの?」と思った方はなかなか鋭いです。

なぜサイエンスは重視されるの?答えは「アカウンタビリティ」

なぜ、アートよりもサイエンスやクラフトは重視されるのか?一言で言えば、「アカウンタビリティ」がその答えです。

アカウンタビリティとは何か?よく「説明責任」なんて訳されるが、簡単に言えば、「なぜそのようにしたのか?」という理由を、後でちゃんと説明できるかどうか、ということです。

たとえば、「隣の木の枝を勝手に切ったのは、嵐が吹いてて、自分の家の窓が割れそうだったから」これが行動に対するアカウンタビリティがあるということになります。

つまり、アートは「何となくやった」というのに対し、サイエンスは「データを分析したらこうだった」「論理的に考えればこうだった」、クラフトは「昔こういう風にしたら上手くいったから」とアカウンタビリティの有無がこうしたサイエンス・クラフト偏重の現実を生んでいるということになります。

「でも、論理的なのはいいことじゃない?」というのはある一面においては正しいけど、ある面においては必ずしも正しいとは言えません。

特に問題なのは、①差別化の消失という点と、②方法論としての限界という点です。

①については、論理的ということは正解がコモディティ化してしまう、つまり、正解が1つ(あるいは特定の数種類)に決まってしまうという点で、これにより市場はレッドオーシャン化して、スピードと安さのみが差別化を生み出すものとなってしまいます。

直感とは超論理的なこと

②の方法論としての限界については一つの言葉から考えていきたい。

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」

これはノムさんこと野村克也氏が好んで使っていた言葉であるが、実は松浦静山の言葉です(知らなかった!)。

この言葉を分解すると、まず、負けは「不思議の負けなし」、つまり、論理的にその敗因を説明できるが、勝ちは「不思議の勝ちあり」、すなわち、論理的には説明できない「超論理」によってもたらされるものもあるということです。

ここで、念のため「超」について解説すると、「超」とは日常使う意味では程度が普通以上であること(「超満員」とか)に使われるが、他にその概念の上位に位置するという意味も存在します。深入りすると長くなるから今度解説します!

話を戻すと、勝ちに不思議の勝ちありとは論理では説明できないけど論理を超えたものによってもたらされることもあるよ、ということを説明したのがこの言葉ということになります。

直感とははまさにこの超論理的なことなのです。

直感に従った判断をしたとき、それを上手く論理的に説明できないけど、正解だったというのがないだろうか?それこそがまさに「アート」です。

そして、その直感を磨くための最良の手段がまさに美意識を鍛えるということを山口氏は言っています。

哲学者のカントも「美しいと感じられるとき、それは何らかの目的に適っている」と言っています。

アート>サイエンスではない!バランスの問題

ここまで読んできた方は、「サイエンスよりアートの方が説明できないけどすごいからそっちの方が大事ってこと?」と思ったかもしれないがようはバランスが大事ってことを言っています。

そして、その一つの答えとして「アートが主導し、サイエンスとクラフトが脇を固める」という一つのモデルを提唱しています。

つまり、アートがトップとして皆が共感するビジョンを掲げ、それをサイエンスとクラフトが現実に実装するということです。

これは、日本にはビジョンが足りないと警鐘を鳴らす山口氏の一つの解決策として非常に優れていると思います。

データだけを見ていては、ジョブズはiPhoneを生み出さなかったであろうし、ずっと業績を伸ばし続けているニトリの似鳥氏もビジョンの重要性を語っていました。

てことで、今回は本書の大きなテーマであるアートやサイエンスについて解説してみました。

サイエンス偏重で閉塞感を感じる企業はアートの重要性を今一度再認識し、バランスを取って企業を発展させていくことを切に願うばかりです。

そして、そんな企業を作り出していくのはこれを読んでいる僕ら一人一人です。

みんなでがんばって美意識を鍛えていこう!

ではでは。