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『カイジ』は人生を問うマンガだ

カイジという作品

「金は命より重い」「勝たなければゴミ!」「キンキンに冷えてやがる…!」「ざわ…ざわ…」マンガやアニメだけでなく藤原竜也氏主演での実写化などで多くの人が知っているカイジという作品。名言や迷言が数多く登場するため記憶に残っている人も多いのではないだろうか。

今日はそんなカイジを解説してみたい。いまさら感があるかもしれないが、カイジという作品は1996年の連載開始からシリーズを変えながら、なんと2022年の現在もその連載をしている。今回はその秘密、カイジの面白さの本質を深掘ってみたい。

カイジを読むべき人

内容に入る前にざっくりカイジをぜひ読んでほしい人を挙げてみる

・ヒリついたギャンブルを通じて熱くなりたい人

・おもしろいマンガを探している人

・人生にリアリティが欠けてる人

こんなところだろうか。最後の「人生にリアリティが欠けてる人」というのは今回のカイジの本質に繋がるところなので後に詳しく解説する。

ちなみに、カイジは色々なシリーズがあるが読む順番は『賭博黙示録』→『賭博破戒録』→『賭博堕天録』→『賭博堕天録和也編』→『賭博堕天録ワン・ポーカー編』→『賭博堕天録24億脱出編』である。

この人生の本物だ

カイジは堕落した生活を送っていたが友人の保証人になってしまい借金を抱えたことをきっかけに様々なギャンブルにのめりこんでく。

カイジはこのようにたくさんのギャンブルを描いていく青年漫画でそこでの七転八倒が面白さであることは間違えないのだが、その本質は、読者がどこかカイジや他のギャンブルに巻き込まれた人たちへのある種の共感があるのではないのかという気がしてならない。それはなにか?

それはずばり「自分の人生について真剣に向き合ってない」ということではないか。

カイジは軽い気持ちで保証人になってしまったり、簡単に命を懸けたりして後悔をする。他の債務者も似たようなものだ。第一作目での『賭博黙示録カイジ』では命懸けのゲームをしているときにその主催者側である利根川が彼らを考察している。

命懸けのゲームで音をあげる彼らに対し、人生に真剣になっていないからそうなると指摘する。「ギブアップ?真剣勝負にそんなものあるか」つまり、彼らは、自分の人生に真剣になっていないのだ。人生は仮ではないし練習もない。いつだって本番。人は仮になど生きていけないし仮に死ぬこともできない。

こんなことを突き付けられたマンガだ。とても深いなと改めて読み返して感じた。そんな人生の貴重な一日一日を無駄にするなと教えてくれて面白いマンガは中々ない。

神頼みをやめよう

『賭博黙示録』の最後で相手方のラスボス兵藤と戦ったカイジは自分のイカサマを見破られ負けてしまう。そのとき、カイジは勝負を運否天賦つまり運に頼ってしまったことを深く反省している。

つまり、自分を助けるのは自分だけだということだ。自分の力を信じて、自分の頭や能力や持てる全てを使って乗り越えなきゃ自分の人生は他人にコントロールされ続けてしまうということだ。

ラグビー日本代表のリーチ・マイケル選手も「神に誓うな、己に誓え」という言葉を座右の銘としているが、そこに共通しているのは「自分の人生の舵取りは他人にさせるのではなく自分でする」ということだ。

以上をまとめると、①人生を真剣に生きろ、そして②その人生のコントロールは自分でする

ということだ。ビジネス書さながらの内容だなと振り返って思う。こんな素晴らしい作品はないなと思い今回取り上げてみた。

そんなことより普通におもしろい!

色々と役に立つという側面で解説してきたが、その内容は普通にマンガとしてとてもおもしろい。ギャンブルの設定さることながら、人間心理の描写がとても秀逸だ。

色々なシリーズがあるがまずは『賭博黙示録カイジ』からぜひ読んでみてほしい。全13巻なのでサクッと読み終わるはずだ。