一巻完結だから読みやすい
漫画って面白いですけど名作になればなるほど巻数がめちゃくちゃあって読みたいけど読む前から億劫ですよね。
そーゆーわけで1話完結でなおかつ面白い漫画見つけてきました。
高橋一仁『信者〜ファン』です。
タイトルから何かの、呼び方は色々あるだろうけど、信者だったりファンであったっりする人の話なんだろうなと想像はつきますけど、この漫画想像以上に面白いです。
ストーカー逮捕
物語は主人公の女の人がストーカーをし盗聴・盗撮の末、逮捕され取り調べを受けるところからはじまります。
物語が回顧的に進んでいく感じですね。
どうしてストーカーをするに至ったのかその経緯が語られていきます。
旦那の性暴力や出産・育児の苦悩、そんな時にあるアーティストとの出会いによって救われた話など同情の余地がある語りによって始まり、実際に、被害者は被害届を取り下げることで一応の解決をしています。
が、そこで女の勘が光ったのが女刑事で彼女は独自に捜査を続行します。
ここから、急に物語の毛色が変わっていきます。
ザ・ストーカー
女刑事が独自に調べて分かったのはストーカ女の異常なまでの執着性です。頭の良さや狡猾さと言ってもいいかもしれません。
目撃者による証言や旦那からの証言がその異常性を証明しています。
ネタバレになるから明言は避けますが、後半からの怒涛の展開が本当に面白いです。
1話完結の漫画なのですが、それはまさに小説を読んだようなという感想が正しいようなそんな気持ちになります。
一方から見るだけじゃわからない
自称意識高い系なのでどんな作品にも、それが小説や漫画や美術展でも、何か一つでも持って帰れる学びを得ようとしているんですが、この作品ほど両方の面から見ないと真実はわからないよね、と教えてくれた作品はありません。
よく言われることではありますが、それがとても刺激的に描かれているのがこの作品です。
表現が過激なため万人に勧められるかと言ったらそんな事はないですが、少なくとも私はこんな一冊で面白くて学びになる作品はそう多くはないからいい漫画に出会えたなというのが正直な感想です。
「描きたかったのは純愛」
そんなかなりドロドロとしたというか、純粋に恐怖なこの漫画ですが作者はあとがきでこんなことを語っています。
「描きたかったのはストーカーの恐怖ではなくストーカーにとっての純愛」
確かに、客観的に見ないであくまで主観的に言えば彼女は純愛だったのかもしれません。
彼の幸せのため、という究極の目的のために売春や整形、果ては殺人までしてしまうのですがそれ根源はどこまでいっても愛といえば愛かもしれません。
ただ、やっぱり側から見たらめちゃくちゃ怖いことに違いありませんので、こんな異常性を垣間見たい方にはおすすめです。最近はほんとドロドロ系にどハマりしています。
一巻完結なので時間もかからないためぜひご一読をお勧めします。