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組織で働くすべての人に捧ぐ『組織の毒薬』前編

サイバーエージェントの社内コラムを書籍化

本書はサイバーエージェントの副社長・日高裕介氏が社員向けに書いていたコラムを書籍化したものである。

実を言うと、本書が世に出された2017年に購入して一読していたのだが(しかも第一版!)、その時は正直あまりおもしろくなかったなと本書を閉じた覚えがある。そして、今回本棚の整理と思い最後に一読して捨てようと思ったのだが、これがなんとおもしろい。

そこで、今回はこの『組織の毒薬 サイバーエージェント副社長の社員にあてたコラム』を紹介していきたいと思います。

全部で66のコラムが掲載されているのでいくつかピックアップして紹介したいと思います。

こんな人におすすめ

・新入社員でなんとなく立ち止まってしまった方

・管理職でコミュニケーションに困っている方

・そして、組織で働くすべての方

こんな人におすすめなのが本書です。逆に、個人で働く人には理屈は理解できるけど、、、という感想を持ってしまう方が多いと思います。なので、組織で働く人だけ読んでください。

競合に会わない

社会で働いていると同じ業種の業界人との接点も多くあると思います。飲み会だったり、カンファレンスだったり。

そこに行く目的は何でしょう?そこに行かなければ仕事はできないのでしょうか?そんなことはないはずです。

競合に会って「あそこはここまでやってるから自分たちもここまでやろう」「あっちはそんなにやってないから自分たちもそこそこでいいや」こういった”基準”を持つことで会社の圧倒的な成長はなくなります。

それより、会社に籠って見えない敵を想像しながらひたすら仕事に打ち込むことの方が会社や自分を成長させるうえで大事です。

「割に合うモノ」しか手をつけなければ、得られる結果はそこそこ

結果がなんとなく想像できるものしかやらない人はそこそこの成果しか得られないということ。想像の範囲を超えないというか。

逆に、自分では決してやらない頼まれごともやってみると意外な方向に自分のスキルが伸びたりする。

敢えて未知の分野に自分から飛び込むことは難しいかもしれないが、人に頼まれたことをやってみる、自分のキャパ以上の仕事を受けてみる、というルールを作ることで想像以上の成果を得よう。

組織で働くとは

マネタイズの手段が豊富で容易になったこの時代、ある程度の個人がお金を稼ぐことはさして難しくはない。いろいろなことを列挙するまでもなく食うに困らないだけのお金を稼ぐ手段は大げさではなく無数に存在する。

では組織で働く価値とは何なのか?それはまさに個人では成し遂げることができないことをチームで成し遂げること、これに尽きるのではないだろうか。

ゼクシィの「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」こんなCMが思い起こされる。

ただお金を稼ぎたいだけなら本当に組織に所属する必要なんてない。だから、そんな「小さな」目的のために組織で働かないでほしい。同じ労力をかけるなら絶対個人で稼いだ方が額も大きい。

それに、組織で働くのは大変だ。煩わしい人間関係に多くのコミュニケーションコストがかかる。だが、そのコストを払ってでも叶えたいものがあるから組織で働くのだ。

だからこそ、組織で働く人には大義を持って、大いなる目的のために働いてほしい。

昔話は無意識のマーキング

昔話しかり、古参が幅を利かせるコミュにティというものは新規の人が入りづらい。そして、そんなコミュニティは遅かれ早かれ廃れる。これは会社も同じだ。

そして、新人の教育も手取り足取り教えるよりも、任せて適切にサポートするという形の方が成長も早い。

自分たちのコミュニティのルールを教えることも大切だが、それを下の代にも全く踏襲させる必要はない。組織は柔軟に変化すべきなのだ。

苦手な人との仕事の仕方について

組織にいる以上、苦手な人は必ず存在する。これは避けようのない事実だし、これ自体悪いことではない。

ただ、「合う、合わない」と言っているうちは仕事に対してコミットできてないか、その仕事が大事ではないかのいずれかということは肝に銘じておきたい。

仕事をするために組織として集まっているのであって、仲良くするために集まっているわけではない。

その意識を念頭に置くか否かで、苦手な人を意識していることが視座の低い話だということがわかるだろう。

視座を高く持って仕事に取り組もう。

イケイケじゃない目標こそ正確に伝える

組織運営をしていると、いわゆる新規事業の開拓をガンガンやっていく部署と既存事業をこなしていく部署が出てくる。もっとマクロにいうと、バックオフィスなど一見地味な部署が存在することも事実だ。

そういった自分たちはイケイケじゃない、と思ってしまう部署にこそ彼らが存在する意義を伝えることが重要だ。

どんな組織も目的があって意味があって存在します。殿(しんがり)がいなければ攻めはよくても守りはダメダメです。

きちんと包み隠さず、組織の存在意義を語りましょう。

マネージャーとは「なんとかする人」

マネージャー=管理職と訳されるが、その内容はどうも曖昧だ。

そこで、manage to do~「なんとか~する人」から、マネージャーの定義を「結果を出す人」とするとその業務の目的がはっきりする。

部下に仕事を任せたり、モチベートしたり、数字を管理することの目的は全て「結果を出すこと」に帰結する。

逆に、部下を管理しても肝心の結果が出なければ、マネージャーは仕事をしたことにはならないのだ。

優秀な人がさらに成長するために

優秀な人=結果を出してきた人は人より一生懸命働いて成果を出してきた人が多いだろう。人よりたくさん働いて成果を出すことは理屈抜きで大事だがそれだけでは頭打ちが来る。

そんな時に、大切なのが「自己否定を受け入れながら成長する」ことだ。

つまり、今まで上手くいってきたやり方を疑い、否定して新たな効率的、革新的な方法模索するのだ。

順調な時は気にしなくていいが、成長が止まったと感じられる時こそ思い出したい話だ。

成果と評価は自分のタイミングでやってこない

どれだけ頑張っても自分の頑張りと成果や評価が反映されるにはタイムラグが存在してしまう。

ここで明暗を分けるのは、成果や評価が出ず腐るか、頑張り続けるかだ。

結果が出ないと自分のやっていることが徒労に思えてしまうが、そんなときに努力を続けられる人が最終的に大きな成果を残せて偉大な評価も得られるのだ。

努力と成果・評価にはタイムラグがあることを認識して腐らずに努力を続けよう。

前編はここまで

いかがだったでしょうか。

なぜ、当時響かなかったものがこんなにも響いているのかわかりません。それが本の面白さでもあるし、自分の成長でもあります。

組織を作ったり、入ってみたりして初めてわかるのが本書の良さです。続きもお楽しみに。

そして、全部は取り上げられないので、ぜひ本書を手に取って読んでみてください。

後編はこちら